
新型コロナウイルスの影響で、日本中でマスク不足が続いています(2020年5月現在)。
お仕事や食糧の買い出し等で外出しなければならない人には、自身とコミュニティの人々を守る集団衛生的な観点からマスクの着用は必要です。
また、ノーマスクで外を出歩くと世間様からすべった芸人を見る目で見られたり、コンビニの店員さんに宇多田ヒカルみたいな喋り方で接客されたりするかもしれないので、精神衛生的な観点からもマスクの着用は必須事項なのです。
ドラッグストア等で購入できる「不織布(ふしょくふ)マスク」や「布マスク」は、供給の8割を輸入で補っていて、その9割は中国からの輸入に頼っているそうです(トイレットペーパーは違います)。
つまり、中国でマスクの需要が上昇すれば、日本でマスクの供給が低下するメカニズムなのですが、国内のマスク製造ラインはようやく整いはじめた所。
そして、製造されたマスクは最前線で闘って下さっている医療従事者の皆さんに、優先して使って頂きたいという想いは全世界共通の気持ちなのです。
とはいえ我々も、ずっとうちで踊っているわけにもいかず、明日も会社に行かなきゃボーイや、午後から買い出しに行かなきゃガールの手元にマスクが無いならば「作る」しかないでしょう。
でっきるっかな♪でっきるっかな♪なのです。
マスクの感染予防効果について
素人が手作りするマスクに、新型コロナウイルスへの感染予防効果があるのか気になって、作業に集中できない人もいるかもしれませんが心配はいりません。
WHO(世界保険機構)が「マスク着用は必ずしも感染予防にはならない」とアナウンスしたように、そもそもドラッグストア等で売っている既製品のマスクを着用したところで(サージカルマスクだったとしても)、感染予防効果はほとんどないからなのです。
1.マスクは感染症患者がするもの

インフルエンザ発症者がマスクを着用することで家庭内感染を防げるかを検証したフランスの調査では「予防効果が認められなかった」そうで、日本でも医療従事者を対象に、マスク着用者と非着用者を比較した感染予防効果を調査した結果「感染に差がなかった」と報告されています。
そもそも一般的なマスクは『感染症患者の口を覆う』ことで、患者本人から出る「咳」や「くしゃみ」による飛沫を封じ込める為のツールであって、健常者が感染予防の為に着用するものではありません。
【参考資料】
・マスクの予防効果について1:日常的なマスク着用による感染予防効果について:ヨシダ製薬
・マスクの予防効果について2:インフルエンザとマスクの着用:広島県医師会(日本消化器病学会専門医【三重野 寛】)
2.マスクと顔の間に隙間ができる
空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降っているように、マスクと顔とのあいだには今日も隙間が開いています。
医療用の「N95マスク」は、ドラッグストア等で購入できる一般的なマスクとは異なり「微生物を含む外気から着用者を守る」為に使用されます。
【N95】は米国労働安全衛生研究所(NIOSH)が定めた規格の名称で、0.3μm(マイクロメートル※)の微粒子を95%以上捕集できることを意味しています。
※1μm=1000分の1ミリ
花粉の大きさは「20〜40μm」、細菌の大きさは「1μm」程なので、N95マスクの敵ではありません。
しかし、コロナウイルスの大きさは「0.1μm」程なので、N95マスクでも防ぎきれないように思えます。えっ、ダメじゃんN95。

でも大丈夫、コロナウイルスの感染経路は感染症患者の「咳」や「くしゃみ」によるウイルス飛沫がその一つですが、ウイルス飛沫には水分や埃が付着していて、その大きさは「5μm」に膨れあがっているので、N95マスクはもちろん、ドラッグストアで購入できる一般的なマスクでも防げるのです(一般的なマスクのメッシュは5μm)。
また、コロナウイルスが単体で浮遊(エアゾル)していたとしても、粒子はブラウン運動による不規則な動きをしているので、ほとんどのウイルスはマスクの繊維に衝突して捕集されるのです。
【参考資料】
・ウイルス飛沫の大きさについて:感染経路別予防策:日本環境感染学会
・粒子の捕集について:新型コロナウイルスや花粉症でのマスク装着に関する日本
エアロゾル学会の見解:日本エアゾル学会
で、あるならば、自身がマスクを着用する事でも、感染症患者からの「咳」や「くしゃみ」によるウイルス飛沫を防ぐ事ができそうですが、残念ながらウイルスを捕集する能力は『マスクのフィルター部分の性能の話』です。
N95マスクは顔とマスクの隙間から感染源が進入しないよう、顔面と密着するように設計されていますが、ドラッグストアで購入できる一般的なマスクのほとんどは「顔とマスクの間に隙間が出来る」のです。
コロナウイルスが、わざわざ空気抵抗のある通過しにくいマスクのフィルター部分から向かってきてくれる訳がなく、その大部分は吸引力が強いノーガードの隙間から進入します。
なので、なるべく顔とマスクの間に隙間を作らないように装着するべきなのですが、完全に密着させるには付けまつ毛用の接着剤でも使わない限り不可能でしょう。
いーないーな、それいいなー♪ぱっちりぱっちり、それいいな♪
【参考資料】
・顔面とマスクの隙間について:マスクの種類や形、効果:北海道薬剤師会
・ Warner Music Japan:つけまつける:きゃりーぱみゅぱみゅ
3.感染リスクが高いのは『接触感染』
新型コロナウイルス等、ウイルスの主な感染経路は3つあります。新型コロナウイルスのデータはまだ少ないので、アメリカで行われた「風邪ウイルスの感染リスク」のデータを参考にお話します。
❶空気感染
感染リスク:0%
空気中を漂う病原体を吸い込むことによって生じる感染経路のことです。
インフルエンザウイルスを含む多くのウイルスは「乾燥すると感染性を失う」ので、新型コロナウイルスは空気感染しないとされています。よって感染リスクは0%です。
ただし、閉鎖空間においては感染症患者の「咳」や「くしゃみ」が空気中に浮遊して空気感染したとする報告があるので、0%ではありません。
❷飛沫感染
感染リスク:8%
感染症患者の咳やくしゃみの「しぶき(飛沫)」を直接吸い込むことによって生じる感染経路のことです。
ウイルス飛沫は、0.5秒〜1秒以内に床や地面に落ちるので、1.5m以上離れていればマスクをしていなくても防げるそうです。
また、普通に道を歩いていて、1m 〜 2m の距離で感染症患者の「咳」や「くしゃみ」をモロに受ける確率も低いので、感染症患者の看護や治療にあたる医療従事者や家族の看護をする場合以外では、対面で食事をする状態や会話をする状態が「飛沫感染の感染リスクを上げる」事になります。
そして、「ウイルス飛沫」は目の粘膜からも感染するので、マスクの予防効果が低いとされる理由のひとつになっています。

さらに、アメリカ科学アカデミー(NAS)によると「咳」や「くしゃみ」に加えて、「呼吸」や「普通の会話」でもウイルスが広がり感染の可能性があるそうなので、どうしても好意が持てない上司のズボンのチャックが開いていたら2m以上離れて教えてあげましょう。
【参考動画】
・[NHKスペシャル]マスクの効果『新型コロナウイルス”マイクロ飛沫(ひまつ)感染”からわかる予防【NHK】
❸接触感染(直接感染)
感染リスク:50%
感染症患者との皮膚や粘膜の接触(変な意味で)、または感染症患者の周囲の物体表面を介してウイルスが付着した手で自分の目や鼻等の粘膜を触ることによって生じる感染経路のことです。
どのデータも「接触感染」が最も感染リスクが高いと仰っているので「手洗い」は最も優先するべき感染予防のようです。
そして、マスクをすることで「鼻の粘膜を触る時間が減る」ので、接触感染のリスクを下げる効果が期待できます。
外で鼻クソをほじって処理に困って結局家まで持って帰った覚えのある人には特に効果が期待できます。
手作りマスクをオススメします
さんざんマスクの予防効果が低い話をしておいてアレですが、ウイルスに感染していても症状が出ない場合もありますし、外出が必要な場合には周りの人を安心させる為にもマスクはするべきでしょう。
そして、マスクの品薄や転売ビジネスに加担しなくてすむように、手作りマスクをオススメします。

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