漆黒の侵入者

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がんばれカトルくん
業務日報編【第6話】

ヤマダ

業務日報:10月15日(月)雨 
担当:ヤマダ

■AM7:00 
 起床:闇の時から光の時への転移に成功。イービルアイフォンの転移魔法アラーム「煎茶」の威力はすごい。

■AM7:15 
 洗顔:ファリスの浄化魔法を発動。ファリスはしっかり泡立ててから、肌に負担をかけない10g程度の力で、くるくると外側に円を描くように浄化。からのデンタルファリス。 

■AM7:30 
 朝食:捕獲レベル100以上の猛獣の加工肉と、レア食材「不死鳥の卵」を調理したアカシアの朝食「ソーセージ・エッグ・マフィン」でHP&MP全回復。からのデンタルファリス・セカンドシーズン。

■AM8:00 
 昨夜の『瞬発力と持久力の宴』で面白い奴がいた事を思い出した。たしかカトルとか言うシューターだ。

 エイムも体の使い方も不安定、ギアパワーのコンセプトは意味不明、完全に初心者かと思えば、相手が嫌がる位置へのポジショニングと、相手の裏取りを察知するスピードは異常な速さだった。0キルだったけど。

 常に後方から全体を観ているチャージャーの我にはよく分かる。奴は敵と味方の位置をすべて把握して動いていた。我の邪王心眼に匹敵する視野の広さだ。0キルだったけど。

 そして何より、ネグロ兄様があんなに楽しそうに戦っているのを我は初めて観た。奴はいったい何者なのだ。0キルだったけど。

■AM9:00 
 真相を確かめる為に調査を開始することにした。どうやら奴は「イカスミカフェ」という喫茶店で住み込みのアルバイトをしているらしい。ゲソログの評価は星4つ。そこそこ有名なお店のようだ。「レトロな純喫茶12選」にも選ばれている。12位だったけど。

■AM9:30 
 ターゲットのアジト、イカスミカフェに到着。今日は定休日らしい。入り口にはカギがかけてある。

■AM9:31 
 かなり旧式のカギだ、問題ない。この鍵穴にイカパッチンの金具のこれをこうして、こうして、こうだ。

■AM10:00 
 奴に関する情報は、この「業務日報」からだいたい得ることが出来た。やはりバトルをはじめたばかりの初心者だ。バトル中に奴から感じた不思議な感覚は気のせいだったのか。本人から直接聞く方法はないのだろうか・・・そうか、明日くればよかった。

■AM10:01 
 あ、誰かくる。いかがわしいお店にハマっているという、この喫茶店の店主か?・・・なんだあのモジャモジャ頭は、本当にインクリングなのか。そんなことより、隠れなければ・・・、よし、このテーブルの下に・・・あ、見つかった、よせ、何をする、あ、あぁぁぁぁぁーーーーー

ヤマダ「と、いうわけだエロ店主」

カトル「そういうわけみたいですエロ店長」

スミス「えっ。普通に不法侵入ですよ。犯罪です。そして店長は腕を掴んだだけです」

ヤマダ「つい、出来心でカギを開けてしまったのだ。店主が出来心で我の体に触れたのと同じだ」

スミス「つい、出来心でピッキングして1分で開けれません。鍵のレスキューと同じ速さです。そして店長は腕を掴んだだけです」

ヤマダ「・・・申し訳ない事をした」

スミス「まぁ、事情はわかりましたし、ネグロくんの妹さんということで今回は大目にみましょう」

カトル「えっ、ネグロの妹?!」

スミス「日報にそう書いてありましたよ」

ヤマダ「確かに、ネグロ兄様は我の兄だ」

カトル「大変です店長、売上金が全部無くなってます」

スミス「大丈夫です。カトルくんの好感度以外は何も失ってません」

ヤマダ「・・・カトルと言ったな。おぬしに聞きたい事が3つある」

スミス「そうでした、貴女はカトルくんに興味があってここに来たのでしたね」

カトル「・・・な、なんだよ」

ヤマダ「昨日のバトルでおぬしは、我をかばって三度もデスをした。チャージャーの我より、シューターのお前が生き残っていた方が、ナワバリバトルでは【塗る】という点で有利だったのではないだろうか?」

カトル「・・・あの時の敵チームは、全員、すごく強かった。悔しいけど、対等に戦えていたのはネグロとお前だけだ・・・特に仮面のスピコラの奴。もし、お前の射程が無くなったらアイツが自由に動ける、そうなったら終わりだと思ったからだ」

スミス(♪)

ヤマダ「・・・なるほど。では2つ目の質問だ。その論理なら兄様が敵2人に囲まれた時、なぜ助けに行かなかった。兄様を無視して敵陣を塗りに行ったのはなぜだ?」

カトル「・・・」

ヤマダ「確かにおぬしが敵陣を塗ったおかげで逆転勝ちに終わった。しかし、あの局面で兄様がデスしていたら、蹂躙されて負けたのはこちらだった。まさか個人的な感情によるものか?」

カトル「・・・ないからだ」

ヤマダ「?」

カトル「ネグロは囲まれてたんじゃないからだ。アイツは敵の2人を引きつけて、ボクをフリーにしたんだ。それに・・・ネグロの目は行けって言ってた」

スミス「♪♪」

ヤマダ「・・・なるほど、兄様がおぬしとマッチングされた時、嬉しそうだった理由がわかった。・・・では、最後の質問だ」

カトル「なんだよ、もういいだろ」

ヤマダ「おぬし、開幕でしばらく固まって動かなかったな?あれ、ちょっと焦ったんだが、どうしてだ?」

スミス「あっ」

カトル「あっ」

ヤマダ「えっ」

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