
意外に知られていないラグの原因のひとつに「タコ足配線」というものがあります。
デジタルっぽいラグの対策に、アナログっぽいタコ足配線がどう影響しているのでしょうか。
❶コンセントは「1500W」まで

一般的なコンセントに流せる電流は「15A(アンペア)」までです。
ちょっとくらいオーバーしても、コンセントさんは頑張りますが、一般的なブレーカーは20Aを超えると落ちます。
小学校の理科で習ったこの「A(アンペア)」ですが、あの頃の甘酸っぱい思い出と共に記憶をさかのぼってみましょう。
電流(A)× 電圧(V)= 電力(W)
日本の一般的なコンセントの電圧は(100V)なので、
15A × 100V = 1500W
1つのコンセントで「1500W」までの電力供給が可能ということになります。
延長コードのパッケージとかに『合計1500Wまで』って書いてあるのも同じ理屈です…
( ˘ω˘ ) スヤァ…
甘酸っぱい思い出の方に意識が飛んでしまいそうなので、例によってザックリいきましょう。
❷消費電力が「変化」する家電製品

一般的なコンセントには差込口が二個ありますが、「合計1500Wまで」のルールは絶対なので、それぞれに1000Wのドライヤーを接続して、同時にブォーンってやるとブレーカーが落ちます。
コンセントに接続してるだけなら大丈夫です。もしかすると、両方のドライヤーを「弱」で使ってもブレーカーは落ちないかもしれません(危ないのでやらないでくださいね)。
つまり、家電製品は使用状況によって消費電力が変化するということです。
で、ここで、いきなりタコ足配線が登場。
マルチタップ(いっぱい挿せるやつ)に、合計1500W以上のアダプターを接続してもブレーカーは落ちません。
しかし、この中に一時的に消費電力が上がる家電製品※1が含まれていると、同じマルチタップに接続されている、他の家電製品の動作が不安定になることがあります。
家電製品には、その製品が「正しく動作する為に必要な電力」が決まっているからなのです。
※1)録画機能の付いているテレビが予約録画を開始した瞬間や、スマホの充電器にスマホを接続した瞬間など。
❸Switch は最大「39W」必要

Switchは「15.0V-2.6A」なので最大39W(15V×2.6A)の電力を必要とします。だから同じコンセントにSwitchを42台つなぐと動作が不安定になります。(そんな人いません)
「ルーター」や「ONU」も必要な電力が決まっているのですが、製品によって値が違うのでそれぞれ確認してみて下さい。(ONU+ルーターで20W前後かと思います)
もし、タコ足配線でパンパンになっているコンセントに、ONUやルーターが組み込まれていて、必要な電力が足りていないと「貧血状態」になり、動作が不安定になってラグや通信エラーを引き起こすかもしれません。
また、Switch本体がタコ足配線に含まれていて、必要な電力が足りていないと、冷却ファンの動作が不十分だったり、本体の処理能力が低下したりして、ラグや通信エラーを引き起こす可能性があります。
❹ノイズの影響

タコ足配線がラグに影響するもうひとつの可能性が「ノイズ」です。
ノイズがWi-Fiの電波に影響する話は有名です。電子レンジをつかうと回線落ちしたり、動画が止まったりするアレです。
タコ足配線のノイズは、レコーディングスタジオでも問題になります。
録音機材をタコ足配線に組み込んだり、タコ足配線の近くで録音機材を使用すると、レコーディングした音にノイズが乗るのです。
同じ理屈で、フレッツ光のひかり電話機能付きルーターをタコ足配線で使用すると、通話中の音声にノイズが入ります。
また、ノイズはインターネット通信の品質にも影響するので、LANケーブルの会社の人は、ノイズの影響を受けないケーブルを開発するために、日夜研究に励んでいます。
それなのに、ルーターやONUをタコ足配線に組み込んでしまうと、どんな高品質なLANケーブルを使っていても、ノイズの影響を受けやすくなってしまいます。
ゾンビウィルスを完全に遮断する頑丈なヘルメットと、ゾンビの爪や牙を通さない特殊なゴムのスーツを装備していたのに、サンダルだったから足噛まれちゃったみたいな感じです。
混雑する時間でもないのにラグを感じたり、回線落ちやエラーを繰り返すようであれば、オンランゲームに関係する機器が「タコ足配線の電源に組み込まれていないか確認」してみましょう。
家具のレイアウトやコンセント位置の兼ね合いもありますし、完全には難しいかもしれませんが、ゲーム関係の機材の配線を見直して、充分な電力供給とノイズの軽減に取り組んでみて下さい。