LANケーブルを替える

ラグの対策【中級編❶】

 電気を使って仕事をするプロフェッショナルはケーブルにこだわります。プロフェッショナルなギタリストはギターとアンプをつなぐケーブル(シールド)にこだわり、プロフェッショナルなVJは機材とモニターをつなぐ映像ケーブルにこだわり、プロフェッショナルなゲーマーはゲーム機とインターネットを繋ぐLANケーブルにこだわるのです。そして、彼らは口を揃えて2回言うのです。

「ケーブルは俺の血管だ、そして・・・俺の血管だ!」

 どんなに機材の性能が高くても、それらを繋ぐケーブルの品質が低ければ、本来のパフォーマンスが発揮されない事をプロフェッショナルはよく知っているからなのです。

LANケーブルの種類

 LANケーブルは「形状」「長さ」「Cat(カテゴリー)」等、いくつかの種類に別れていて、家電量販店に行くと鼻水が飛びそうなくらいの種類が置いてあります。たまに「光信号だからどのケーブルでも速いよ旨いよ安いよ」って言ってるキン肉マンみたいな人がいますが、光信号なのは家の壁からでている細い線(光ファイバー)までです。

 その細い線(光ファイバー)が最初に繋がっている機械【ONU】の中で、光信号は「電気信号に変換」され、その電気信号はノイズ(電磁波)の影響を受けるので、「LANケーブルの品質によって通信品質が左右される」という理屈なのです。

 お店に行った時に鼻水が飛ばないよう、イカスミカフェでしっかり予習してから出かけて下さい。

  1. LANケーブルの形状
  2. LANケーブルの長さ
  3. LANケーブルのカテゴリー
  4. 結局どれを選べばいいの?
  5. プロがCat.7を使わない理由
  6. プロがCat.8を使わない理由
  7. オススメのLANケーブル
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❶LANケーブルの形状

スタンダード(ノーマル)

 最も通信品質が高い形状がコレ。結論からいうとこの「スタンダード(ノーマル)タイプ」をチョイスしましょう。LANケーブルの中に入っている銅はノイズの影響を受けやすいので、LANケーブルのメーカーは日夜、研究に研究を重ね、ノイズに強い素材を使ったり、特殊なコーティングをしたり、ラジバンダリ、最も防御力を高めたのがスタンダードタイプなので、これ以上の形状は今の所ありません。

フラット

 フラットタイプを使っている方は多いと思います。とっても使い勝手が良いのです。厚みが無いのでドアの隙間を這わせている方もいるかもしれませんし、階段を上手に這わせて2階の寝室まで伸ばしている方もいるかもしれません。しかし、薄いということはその分ノイズの影響を受けます。通信速度に影響はありませんが、ノイズの影響を受けるので通信エラーの原因になります。

 薄くて弱い。そう、ヤムチャです。

スリム(やわらか)

 スタンダードタイプのノイズに対しての防御力とフラットタイプの機能性の間を取ったタイプがこちら。オンラインゲームをする前は、店長もこのタイプを好んで使っていました(万能型が好き)。フラットタイプと同様、通信速度は同じですが、やはりノイズに対しての防御力はスタンダードタイプに及びません。

 スリムで弱い。そう、ヤムチャです。

❷LANケーブルの長さ

 LANケーブルは、各家庭の通信機器の設置場所に合わせる為に、メーカーで様々な長さの製品が用意されています。結論から言いますと「LANケーブルは短ければ短いほど良い」のです。しかし、こればっかりは、インテリアの配置の関係や、同居している家族との距離感の関係上「どうしても短くできない場合」がありますが、できるだけ頑張って頂きたい。あと、家族とは仲良くして頂きたい。

 因みに店長は神経質なので、オンラインゲーム用の機器は全て「0.5m」でキッチリカッチリ繋いでます。

 キッチリカッチリ。

どうして長いとダメなの?

 LANケーブルの中には銅の線が入っています。ホントは銀の方が電気を通しやすいのですが、コストを考えて銅が採用されました。しかし、銅は長ければ長いほど信号が弱まる性質を持っています。でも、100m前後までなら問題なく通信が出来るので、家庭用のLANケーブルの規格は100mまでとなりました。

 ここだけ知ってる人は「50mくらいなら余裕で大丈夫だし、速いし旨いし安いよ」って言います。たぶん噛んでたガムが砂場に落ちても3秒ルールを適用するタイプです。(そんなことない)

 準備編から読んでる根気のある方はもうお分りだと思いますが、オンラインゲームで大事なのは【通信速度】ではなく【通信品質】です。銅は「ノイズ」の影響を受けやい性質も持っているので、ケーブルが長ければ長い程この影響を受けます。何故なら、部屋の中にはテレビやPCや空気清浄機等、電気を使う製品がいっぱいあって、それらは目に見えないノイズを発生させ、電磁波となって空気中に存在します。LANケーブルは長ければ長いほど、電磁波に触れる面積が多くなり、通信エラーや微ラグを引き起こしやすくなるのです。

 それから、家電量販店で間違って長いLANケーブルを買ってしまい、余った部分をクルクルするのも要注意です。LANケーブル自身が「自分でノイズを発生するおバカさん」なので、クルクルすると「じじじ自分のノイズででで自分ががが自分ががが自分のノイズふぁぁぁぁぁ」ってなって、通信エラーや微ラグの原因になります。

 店長も「心配ない・・・いつかきっと、この長さが必要になる日が来るだろう・・・」ってブツブツ言いながらクルクルしていましたが、通信機器の位置はだいたい決まってるので、その日が来た事はまだありません。

 もし来たら新しいのを買いましょう。

❸LANケーブルのカテゴリー

 2019年現在、LANケーブルには「Cat.5」「Cat.5e」「Cat.6」「Cat.6A」「Cat.7」「Cat.7e」「Cat.8.1」「Cat.8.2」と、8段階のカテゴリがあって、それぞれ性能が違います。「えっ、Cat.6e があるから9段階じゃないの?」って思ったアナタ、今日から友達です。

※昔々、アメリカの工業会が「Cat.6」を作りました。その後、民間のLANケーブルメーカーが、より性能の良い「Cat.6e」の開発に成功しました。慌てて工業会もCat.6eと同等の性能を持つLANケーブルを開発したのですが、「真似してないしぃ〜。ずっと前から思いついてたしぃ〜。ホントだしぃ〜」と「6A」って名前をつけました。でも性能は同じです。

※JEITA(電子情報技術産業協会)は「6A」を正しい規格表記としていて、「6e」は誤表記としています。

Cat.5

【通信速度】100Mbps
【伝送帯域】100Mhz
【シールド】UTP / STP

Cat.5e

【通信速度】1Gbps(1000Mbps)
【伝送帯域】100Mhz
【シールド】UTP / STP

Cat.6

【通信速度】1Gbps(1000Mbps)
【伝送帯域】250Mhz
【シールド】UTP / STP

Cat.6A(6e)

【通信速度】10Gbps(10000Mbps)
【伝送帯域】500Mhz
【シールド】UTP / STP

Cat.7

【通信速度】10Gbps(10000Mbps)
【伝送帯域】600Mhz
【シールド】※STPのみ

Cat.7e

【通信速度】10Gbps(10000Mbps)
【伝送帯域】1Ghz(1000Mhz)
【シールド】※STPのみ

Cat.8.1

【通信速度】40Gbps/25Gbps
【伝送帯域】2Ghz(2000Mhz)
【シールド】※STPのみ

Cat.8.2

【通信速度】40Gbps/25Gbps
【伝送帯域】2Ghz(2000Mhz)
【シールド】※STPのみ

 さて、数字はいっぱいですがビビる必要はありません。【通信速度】の数字が大きい方が「速い」、【伝送帯域】数字が大きい方が「多い」って程の意味です。では、CAT5eと、CAT6を比べてみましょう。

Cat.5e

【通信速度】1Gbps(1000Mbps)
【伝送帯域】100Mhz
【シールド】UTP / STP

Cat.6

【通信速度】1Gbps(1000Mbps)
【伝送帯域】250Mhz
【シールド】UTP / STP

 どちらも【通信速度】は同じ1Gbpsですが、【伝送帯域】はCat.5eが100Mhzなのに対して、Cat.6は250Mhzもあります。

 なるほど、フランス代表のサッカー選手「エムバペ」は、ウサインボルトと同じくらい速いのに、サッカーも上手。だから背番号が「6番」だったのかもしれませんね。(10番です)

 Catが大きくなるにつれて、通信スピードも、通信量も大きくなるので「ネットが速くなる」って事になります。

❹結局どれを選べばいいの?

 ここまで読んだ誰しもが「なるほど、つまり、スタンダードタイプで、なるべく短くて、Cat.8のケーブルを選べばいいんだね、OK、わかった、100本下さい」ってなると思います。

 しかし、一般家庭でLANケーブルを使う場合のベストチョイスは「Cat.6A(6e)」のLANケーブルなので、間違えずに「CAT.6A(6e)」をチョイスして下さい。

❺プロがCat.7とCat.7eを使わない理由

「CAT.7」と「CAT.7e」は産業用機械に使用する為に設計された、とってもノイズの多い場所(工場とか)で使う「業務用のLANケーブル」なので、ケーブルの中にノイズを除去する為のアース線(洗濯機のコンセントとかに付いてる緑のやつ)が入っています。

UTP と STP

 カテゴリーの項で【シールド】の説明がなくてムラムラしてたアナタ、お待たせしました。

・UTP(Unshielded Twisted Pair)=アンシールデッドツイストペア

・STP(Shielded Twisted Pair)=シールデッドツイストペア

 アンシールデッド=「非シールド」なので、UTPは「シールド(アース線)が入ってません」、STPは「シールド(アース線)が入ってます」って意味です。

 Cat.7とCat.7eは「STPのみの規格」、つまり「アース線」が入っています。この子達は、強いノイズが発生する場所で使われる事が多い産業用の機械を接続する為に開発され、そのノイズと戦う宿命を背負って生まれたケーブルです。

 しかし、一般家庭ではシールドが必要なほど強いノイズは発生しません。アナタが複雑な家庭の事情か何かで「稼働している産業用機械の隣でゲームをする人」や、「ものすごい磁場を作る古代兵器の上に住んでる人」じゃない限りシールドは必要ないのです。そして、古代兵器はだいたい危ないので、すぐに引っ越してください。

 そもそも、Switchはもちろん、家庭用のPCやルーター等には、Cat.7とCat.7eの規格に準ずるアース機能(拾ったノイズを放出する機能)がありません。それだけでなく、Cat.7やCat.7eのLANケーブルのアース線はノイズを拾いまくり、拾ったノイズを放出する方法がないので、通常のLANケーブルより通信品質が落ちてしまいます。

 もっと言うと、Cat.7、Cat.7e、の本来のコネクタの規格は「TERA」か「GG45」か「ARJ45」なんです。

TERA
(TERAコネクタ:Wikipedia
GG45
(GG45コネクタ:Wikipedia

 本来なら、これらのコネクタを使わないと性能を発揮しない子達に、無理やりRJ45(一般的なコネクタ)を取り付けて「Cat.7」や「Cat.7e」として販売しているのです。

 そう、猫に例えるならば、ノルウェージャンフォレストキャットをメインクーンだと思って可愛がるようなものです。(どっちもかわいいからいい)

ノルウェージャンフォレストキャット
ノルウェージャンフォレストキャット
(画像:ねこちゃんホンポ
メイクーン
メインクーン
(画像:ねこちゃんホンポ

 まったく、JEITA(電子情報技術産業協会)はいったい何をしているのでしょうか?

 と、思って調べてみたらJEITAはやんわりと言っていました。

Q3「RJ45プラグ付の「Cat.7」と表記されたパッチコード が販売されておりますが、これについて教えてください。 これは、Cat.7の性能はあるのでしょうか」

A3「RJ45プラグ(一般的なコネクタ)ではCat.7性能を満足することはできません。よって、これは不適切な表現であり「誤表記」と考えられます。Cat.7性能を満足するプラグは、一般的にTERA、GG45、ARJ45コネクタであり、 よって、「Cat.7」と表記された RJ45プラグ付コードは、Cat.7の性能を満足しておりません」

(出典:JEITA「LAN配線技術セミナー2018」

 そうです。Cat.7なんか「満足しておりません」なのです。

❻プロがCat.8を使わない理由

「Cat.8」はデータセンター向けに開発されたLANケーブルで、日本では「Cat.8.1(一般的なコネクタのやつ)」と「Cat.8.2(じゃない方のコネクタのやつ)」に分けます。

「Cat.7」と同様、どちらもSTPなのでシールド(アース線)が入っていて一般家庭向きではないのと、そもそも一般家庭には「40Gbps」で通信する用事がありません。

データセンター
(データセンター)

 もし、アナタの実家がデータセンターで、思春期に「俺のパンツ、サーバーで干すなし!」と怒った思い出があるなら、お母さんに電話して野菜といっしょにCat.8.1のケーブルを送ってもらいましょう。

 回線速度やPingの測定をすると、たぶん「Cat.6Aと同じ結果」がでるはずです。

 もし、明らかに速度が上がったのだとしたら、もともと使っていたケーブルに問題があった可能性があります。

 一般家庭では、Cat.6Aの「10Gbps」でさえ持て余しているの時代なので、Cat.7やCat.8が必要になるのはまだまだ先の話かもしれません。

 でも、どうして、一般家庭で使用しても意味がないモノが家電量販店で普通に売っているのでしょうか?

 しかも売り場には「めっちゃ速いでぇ♪1番速いでぇ♪」って書いてあったり、あちこちのブログに「Cat.8にしたら速度が上がった!」とか書いてあったりするのでしょうか?

 ええ、そうですね、お茶でも飲みながら、資本主義についてゆっくり考える事にしましょう。

❼オススメのLANケーブル

※Amazonや楽天で1本だけ注文すると、送料の方が高いので近くの家電量販店に出かけましょう。
※購入前にLANケーブルの【CAT】【形状】【長さ】をよく確認して下さい。

ツメの折れないLANケーブル
Cat6a(UTP)
:iBUFFALO

PANDUIT(プロ仕様)
CAT6A(UTP)

created by Rinker
パンドウイットコーポレーション(PANDUIT)
¥3,414 (2019/12/06 05:18:39時点 Amazon調べ-詳細)

 知る人ぞ知る「PANDUIT(パンドウィット社:アメリカ)」のLANケーブルです。日本には1974年に入ってきた配線関係の老舗。

 この会社のLANケーブルのアース線はルーターにアース機能がなくても「ノイズを拾わない」特殊な設計になっている上に、素材にコストをかけているので通常よりも細い形状で通信品質の安定に成功しています。国内海外を問わずプロゲーマー御用達の製品なのです。

 ただし、一般的なLANケーブルに比べると高価なので、ちょっと長い距離を這わせたい場合には検討してもいいかもしれません。

0123456789 ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ もくじ
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CHAPTER 1
ラグの対策【準備編】

まずは回線をチェックしましょう

  1. はじめに
  2. Nintendo Switch の回線速度テスト
  3. Ping値の測定

CHAPTER 2
ラグの対策【基本編】

今さら聞けないラグの基本

  1. ラグいと起きる10のコト
  2. そもそもラグってなーに?
  3. じゃぁ同期ズレってなーに?
  4. ラグい方が有利じゃないの?
  5. チックレートってなーに?

CHAPTER 3
ラグの対策【初級編】

今すぐ出来るラグの対策

  1. ラグの原因になる10のポイント
  2. ルーターの再起動
  3. タコ足配線もラグの原因です
  4. テレビの設定
  5. Switch本体の設定
  6. ラグの多い時間帯

CHAPTER 4
ラグの対策【中級編】

ゲーマーのラグ対策

  1. 中級編のはじめに
  2. LANケーブルを替える
  3. LANアダプタを替える
  4. ゲーミングルーターを使う
  5. ゲーミングモニターを使う
  6. ゲーミングヘッドセットを使う
  7. 【v6プラス】についての注意
  8. 回線業者とプロバイダーを替える

CHAPTER 5
ラグの対策【上級編】

ガチ勢のラグ対策

  1. Nintendo Switch を
    NATタイプAにする方法❶
    【NATタイプAってなーに?】
  2. Nintendo Switch を
    NATタイプAにする方法❷
    【IPアドレスの固定】
  3. Nintendo Switch を
    NATタイプAにする方法❸
    【ポートの開放】
  4. フレッツ光のHGW(ホームゲートウェイ)に
    他社ルーターを接続する方法
  5.  
  6. v6プラスで Nintendo Switch をNATタイプAにする方法はない
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