
「ガチホコの3つの役割」の中で、最も人気が無いのがカチョホコです。しかし、状況を的確に判断する「頭脳プレー」と、味方のために走る「献身的プレー」が求められる、最も『イカフェッショナルらしい役割』なのです。
❶カチョホコの仕事
悲しい運命に抗い続ける
シャチョホコは、ホコを担ぐと同時に、「60カウント後に必ずデスする運命」も担ぎます。悲しいシャチョホコ、シャチョホコ悲しい。
そんな悲しいシャチョホコなのに、ついでに「敵の標的になり続ける運命」も担ぎます。つまり、シャチョホコはデスと隣り合わせなのです。
だからカチョホコは体を張り、何度でも立ち上がります、「オレ達は運命に抗い続ける」と。
- 相手にキルされる
- ステージ外に落ちる
- 60カウント経過する
これら全てから「シャチョホコを守ること」がカチョホコの仕事です。つまり、
- ホコがキルされないように守る
- ホコが安全に移動できるように塗る
- ホコを60カウント以内にゴールさせる
こんなに頑張っているのに、目立たない「シャイなあんちくしょう」がカチョホコなのです。
余談ですが、店長は前作で上手なカチョホコを見つけたら必ずフレリクを送っていました。「カチョホコが上手な人はすごく性格がいい」からなのです(店長調べ)。
❷まず状況を把握する
アナタが「カチョホコを担当している」ということは、誰かがホコを担ぎ、誰かが敵陣へ向かってルートを塗っているということなので、大至急、以下の状況をチェックしましょう。
- ①ブチョホコが塗るホコルート
- ②シャチョホコが進むホコルート
- ③相手チームの配置
①と②が同じルートの場合
ブチョホコとシャチョホコのルートが一致していれば、相手チームの配置から「最もホコを守りやすい位置」にポジショニングしましょう。
このとき、最も優先するのは「ホコの背後の警戒」です。今作のホコショは強いのでホコ前方の敵はシャチョホコに任せてもいいのですが、ホコショの爆発までタイムラグがあるため、背後からの強襲にめっぽう弱いのです。
「シャチョホコの背後の敵」をカチョホコが担当すると、ホコは前方に集中することが出来るので、生存率が上がりホコを奪われにくくなります。
前作では、ホコの後ろに隠れていると「ホコのフン」と呼ばれ、ホコの前に出ることを良しとされていましたが、今作では前後左右の警戒も高めた方がよさそうです。
しかし、「ホコ周りの安全が確認できている」なら、シャチョホコがスムーズに進めるように前に出るのがやはり定石でしょう。
①と②が違うルートの場合
シャチョホコがブチョホコと違うルートを進んでいる場合、または、ブチョホコが先行し過ぎてホコルートが間延びしている場合は、カチョホコの役割を放棄して、大至急アナタが「ブチョホコ」を代行しましょう。「ブチョホコ(ルート開拓)」を参考にシャチョホコを先導してあげてください。
状況によって役割を替える「判断の早さ」は、イカフェッショナルとって重要な資質ですが、判断だけ早くても役割を実行できなければ意味がないので、すべての役割をこなせるようリグマやプラベで練習しておくといいでしょう。
❸出来るカチョホコは無駄なキルをしない
カチョホコの最優先事項は「シャチョホコをデスさせないこと」なので、シャチョホコがデスする危険が無いときには、カチョホコの仕事はありません。
- ホコを攻撃できない位置(射程)にいる敵
- カウンターを狙って自陣を荒らしている敵
こういった「シャチョホコの進行(生存)に無関係な敵」はカチョホコの業務外の仕事です。
自陣を荒らしている敵を見つけても、ホコの進行に関係がないなら放っておきましょう。
せっかく相手のミスで生まれている「数的有利」を、むざむざ捨てる必要はありません。
また、「シャチョホコのデスに無関係の敵」を無闇にキルすると、その敵は必ずホコが向かっている「ゴール側」からリスポンするので、前線でがんばってくれている味方の前に、わざわざ敵を出現させていることになります。
「孫子の兵法【第八章・九変篇】の一節」で孫子も「やらない方がいい仕事もあるよ」って言ってます。
孫子曰、塗有所不由、軍有所不撃、城有所不攻、地有所不爭、君命有所不受
塗に由らざる所あり。軍に撃たざる所あり。城に攻めざる所あり。地に争わざる所あり。君命に受けざる所あり。
孫子だドン♪道(塗=みち)の中には通ってはいけない道があるんだドン♪敵の中には攻撃してはいけない敵がいるんだドン♪敵の城でも攻めてはいけない城があるんだドン♪敵陣だからって塗ればいいってもんじゃないんだドン♪たとえ君主の命令でも受けてはいけない命令があるんだドン♪(会社だとややこしくなるからすぐに受けるドン♪)…それじゃ〜難しさを選んでね〜♪…難しぃぃぃ♪…曲をえらんでね〜♪…にんじゃりばんば〜〜〜ん♪
味方チームがキルレで圧倒しているのに「ノックアウト出来なかった」とき、『もっと早く勝てたかもしれない』と思えたなら、アナタはもう立派なイカフェッショナルなのです。
❹ガチホコのフォーメーション
スプラトゥーンは4人チームなのに、役割が3つしか無いなんて「数が合わないじゃあないか?」と、モヤモヤして夜しか眠れないアナタに、突然「サッカーのフォーメーション」についてお話します。
サッカー中継とかで1度は耳にしたことがあるはずの【4-4-2】とか【3-5-2】とかのアレです。
この数字は左から「DF(守備メインの選手)の数」、「MF(攻守両方やる選手)の数」、「FW(攻撃メインの選手)の数」を表しています。
「GK(ゴールキーパー)」は必ず1人なので省略されています。
世界で初めて「サッカー協会」が設立された1860年頃は【2-1-7】というフォーメーションが主流だったそうです。「攻撃する人数が多い方がいっぱい点入るんちゃうん?」というシンプルな考え方だったんですね。相手も7人で攻めてくるのに、2人でどうやって守っていたのでしょうか。
時は流れ1958年、サッカーの神様「ペレ」がブラジル代表の時代、世界ではオフサイドルールに対応した【3-2-5】が主流でした。しかし、ペレを擁する超攻撃的なブラジル代表は「ペレさんがおったら、FWを4人に減らしても勝てるんとちゃいます?余った1人を守備に回したら最強ちゃいます?」と、【4-2-4】という画期的なフォーメーションでW杯(スウェーデン開催)で初優勝しちゃったのです。
この【4-2-4】は「えぇやん!ブラジルめっちゃえぇやん!」と、みるみる世界に広がりトレンド入りしました。
さらに時は流れ、1962-63年のチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)では、ACミラン(イタリア)が、「おもろいこと思いついたで!守備のときは相手のFWの数より1人多いDFで守ったら失点しにくいんとちゃうか?攻撃は…まぁ頑張ろな!」という超守備的戦術で初優勝。堅守イタリアサッカーの代名詞「カテナチオ」が誕生したのです。
サッカーのフォーメーションの歴史を振り返ると、「チームのメンバーの個性に合わせたフォーメーション」や「時代の主流に対抗したフォーメーション」など、常に変化していることが分かります。
実は、ガチホコにもフォーメーションがあるのです。【1-2】と【2-1】と【3-0】です。
左から「カチョホコの数」、「ブチョホコの数」です。「シャチョホコ」は必ず1人なので省略しています。
攻守のバランスに優れているフォーメーションは【1-2】ですが、相手チームの戦力が高い場合は、守備的な【2-1】の方が有効かもしれません。
また、あえてブチョホコを置かない超守備的な【3-0】で、ホコを担ぐ時間を増やし、亀のように遅攻したり、時間稼ぎをした方がいい場合もあるかもしれません。
え?相手チームが、時代遅れの【0-3】でゴリラのように攻めてきたらどうするか?
問題ありません、こっちにはカチョホコのアナタがいて、元日本代表の長谷部キャプテンのように、攻守のバランスを巧みに操るのですから。
❺巻末コラム
※取材嫌いで有名なヒョブズ氏が、過去に一度だけOKした「月刊セパタクロー」の記事で、お笑いコンビ「サンドバックマン」の伊達ミキさんとの対談より。









































イラスト|kakapo