タチマワリ【ガチヤグラ篇❷】
CHAPTER 5-2
ガチヤグラの基本戦術
「役割を分担して戦うチームの方が有利」という点ではガチホコと同じですが、ガチヤグラの戦術レベルは少し高くて「流動的に役割を替えられるチームの方が有利」なのです。
しかし、野良ガチマでは「役割分担が出来る味方」をいつも引けるとは限りませんし、「流動的に役割を替える」を完全にコントロールする事は不可能と言っても良いでしょう。
優先順位を基本に「勝利の為に足りない事は全部自分でやる」くらいの気持ちで取り組みましょう。
❶チームの【勢い】を大事にする
孫子の兵法【第五章・勢篇】の七節で孫子はこう言っています。
「故善戰者、求之於勢、不責於人、故能擇人而任勢、任勢者、其戰人也、如轉木石、木石之性、安則靜、危則動、方則止、圓則行、故善戰人之勢、如轉圓石於千仞之山者、勢也」
(ゆえに善く戦う者は、これを勢に求めて、人に責めず。ゆえによく人を択てて勢に任ず。勢に任ずる者は、その人を戦わしむるや、木石を転ずるがごとし。木石の性は、安なればすなわち静に、危なればすなわち動き、方なればすなわち止まり、円なればすなわち行く。ゆえに善く人を戦わしむるの勢い、円石を千仞の山に転ずるがごときは、勢なり)
現代語に訳すと「そそ、孫子なんだな。お、おむすびが好きなんだな。た、戦いが上手な人は味方に【勢い】を求めるけど、【個人の能力】は求めないんだな。だ、だから味方を適材適所に配置した後は、【勢い】に任せるんだな。【勢い】に任せる人の戦い方は、まるで木や石を【勢い】よく転がすように見えるんだな。お、おむすびは転がしちゃだめなんだな。木や石は安定している時は止まってるけど、ふ、不安定になれば動きだすんだな。き、木や石の形が四角だと止まるし、丸いと転がるんだな。お、おむすびは三角だから食べやすいんだな。つ、つまり戦いの上手な人が丸い石を千尋の山から転がり落とすような戦い方を、【勢(せい)】っていうんだな。でも、僕はボーーーっとしてるのがやっぱり一番いいな」
【攻撃フェーズ】も【守備フェーズ】も「ヤグラ周りに展開される前線」を押し続けるガチヤグラにおいては、「個人の能力」よりも「チームの勢い」の方が重要です。
常にバトル全体の戦況を観察して【勢い】がある時にカウントを削り、【勢い】がない時は『【勢い】が生まれるように工夫する』事がガチヤグラの基本戦術です。
❷ガチヤグラの優先順位
では、お約束の「優先順位」を使って分析してみましょう。ガチヤグラの優先順位はこうです。
得たい結果→【ヤグラをゴールさせる】
優先順位①【ノル】
■ヤグラに乗ってゴールへ進める
優先順位②【ヌル】
■味方がヤグラに乗っていたらヤグラを守りやすいようにルート周辺を塗る
優先順位③【キル】
■ヤグラの進行を妨げる敵がいれば倒す
イカスミ流の最優先事項は常に【ガチ行動】です。「敵をいっぱい倒して前線を押し上げていれば、きっと誰かがヤグラに乗ってくれるはず」という考え方は、みんながそう思っている「S〜S+帯ではギャンブルに等しい」ので、「どうせ今日もどうせ自分しかどうせ乗らないにどうせ決まっている」と、コロコロチキチキペッパーズのナダルさんみたいな目をしてロビーに向いましょう。
「ヤグラに乗ってくれる味方がいたらラッキーだ、USBを一発で差し込めた時くらいラッキーだ」と思えたら、バトル中にイライラする事はありません。
そして、常に20キル取っているのにガチヤグラの勝率が悪いイカさんはもしかすると優先順位がキルに偏っているのかもしれません。
得たい結果→【目先の勝利】
優先順位①【キル】
■とりあえず敵がいれば倒す
優先順位②【前線を上げる】
■ヤグラを味方に押し付けてとにかく前線を上げる
※裏を取られてヤグラが止まる
優先順位③敵を追いかけ回して【キル】
■敵を見つけるとキルするかデスするまで追いかけ回してしまう
※全体の状況を把握できていない
※今やるべき仕事を放棄してしまう
❸逆転されても下を向かない
攻撃フェーズ側が有利なガチホコとは対照的に、ガチヤグラでは攻撃フェーズ側(ヤグラに乗ってる側)がちょっとだけ不利です。
ホコルートを自由に選べて、おまけに強力なホコショが撃てるシャチョホコ(ホコ持ち)とは違い、ヤグラルートは固定されていて、ソイヤ(ヤグラ乗り)は行動範囲をヤグラルートによって決められてしまうからです。
ソイヤ(ヤグラ乗り)の戦力を0.5人で計算すると分かりやすいです。ガチヤグラの攻撃側は3.5人、守備側は4人で戦っているイメージ。
攻撃フェーズ中にヤグラルート上にいない敵を20キルしても、ヤグラ周りは2.5人 vs 3人の慢性的な数的不利なので「ヤグラが進みにくい」というメカニズムなのです。
勝率が高いイカさんは、ヤグラの進行を妨げる敵を中心に交戦するので、ヤグラがゴールするのも早く、結果的に突出したキル数にはならないのです。
また、ヤグラルートに関係のない敵を、ずっと追いかけ回すイカさんがマッチングされた場合、なんとか奪った僅かなリードを「数的不利で必死に守る局面」が増え、ついには逆転リードを奪われる事もあります。
この時に「下を向いてはいけません」。絶対に逆転されたくない時間に逆転された時こそ「イカフェッショナルのメンタリティ」が試されるのです。
最後の最後まで諦めずにヤグラを押し返しましょう。例えばその試合を落としてウデマエメーターが割れたとしても『どんな状況でも思考を停止させない習慣』をつける事の方が100万倍も価値があるのですから。
巻末コラム
『へっ、なめんなよ。ソイヤするぜまだまだ俺はな。若い時の自分をがっかりさせたくねえからよ』
※【週刊ヤグラマガジン】2017年12月号より。
伝説のヤグラ乗りとして語り継がれる「ポポン氏」、ガチヤグラ篇の巻末コラムではソイヤ(ヤグラ乗り)の名手ポポン氏の生き様にフォーカスを当てるべく、各回でポポン氏の名言を紹介していきたいと思う。
第一回である今回は、週刊ヤグラマガジンの取材の折、記事に使用するスナップ撮影が終わってもヤグラから降りないポポン氏に対して、「もう、いい加減にヤグラから降りて下さい」と懇願する撮影スタッフへの一言である。
一度ヤグラに登れば「デスするギリギリまで絶対に降りねえ」を信条にする『ナチュラルボーン・ソイヤ 』だからこその名言だろう。
この後、キレた撮影スタッフがクラッシュブラスターを持ってきて、ポポン氏の顔の前ギリギリでパンパンしたが、「はーーー?目なんかつぶってねーーーし」と、しばらく降りなかったという。