ソイヤ(ヤグラ乗り)
CHAPTER 5-3
【担当内容】ヤグラに乗る
【対人能力】
【カリスマ】
【一世風靡】

始計篇からコツコツ読み進め、退屈な基本篇のラリホーに耐え、ついにガチヤグラ篇まで読み進めたアナタに、『ガチヤグラにおいてイカフェッショナルの最優先事項は?』と尋ねれば『ヤグラに乗るんじゃい』と即答するでしょう。
そうです、ヤグラに乗らなくても許されるのは、プロe-Sports選手や、有名実況者級のキル能力を持っていて、敵を1人もヤグラに近づけさせない半端なく強いイカさんタコさんだけなのです。
では、アナタを含め、味方が全員半端なく強かったとしたらどうでしょう?
素晴らしい、そうです『ヤグラに乗るんじゃい』なのです。
❶乗らないと乗れないは違う
2018年3月21日、RAGE Splatoon2 Extreme の初代王者に輝いた「TASO」さんが、同大会の決勝戦で「EMP演劇部」さんを相手に繰り広げたガチヤグラは、決勝に相応しい壮絶なバトルでした。
チーム「TASO」さんの司令塔【ゆっきー】さんは、イカフェッショナルと呼ぶには武力が高すぎ、ファンタジスタと呼ぶには知力が高すぎる、三国志の武将に例えると「姜維(きょうい)」みたいなただの天才です。
タラレバになりますが、予定通りに E3 2017(世界大会)で【あとばる】さんと日本代表を背負って戦う姿が見れなかった事は残念でなりません。
さて、そのTASOさんはガチヤグラの戦術も理にかなったものでした。
ブルーチームのTASOさんは、機動力の高いシューター×2、ヤグラを止める事が得意なブラスター×2の編成でした。攻撃フェーズと守備フェーズの両面を「生き残っている味方でやり繰りしやすい編成」と見る事もできます。
シューターの2人が率先してソイヤを担当する事が基本戦術だったのだと推測しますが、注目すべきは「シューターの2人がソイヤできない局面では、ブラスターの2人のどちらかがソイヤしている」という事です。
対して、イエローチームの「EMP演劇部」さんは、ファイナリストの貫禄たっぷりの重厚なタチマワリで、序盤は拮抗した試合展開になりましたが、ブキ編成の都合もあり、イエロー2と、イエロー3の2人しかソイヤできませんでした(映像で確認する限り)。
こうした「実力が拮抗した達人同士のバトル」では、それぞれの局面でレベルの高い駆け引きがなされているので、「ブルーチームは全員でソイヤしたから勝った」と分析するのは早計にすぎませんが、この話で重要なのは「ゆっきーさん程の強いイカでもヤグラに乗った」という事です。
そして、大事な局面で必ずソイヤを舞っていた、マニューバー系ブキの名手【かよたそ】さんの試合後のコメントは『今までこのチームで優勝した事が無かったので、このチームで優勝する事ができて嬉しい』でした。
味方の為にソイヤを買って出る人に共通する「チームの為に走る」というピュアな思考こそが、「ヤグラ乗りの資質」なのかもしれません。
RAGE Splatoon2 Extreme 決勝戦~エンディング
❷ソイヤの作法
ガチホコでホコを放置するイカさんタコさんの多くが、小学校の通知表に「忘れ物が多い」と書かれていたように、ガチヤグラでヤグラに乗らないイカさんタコさんの多くは「落ち着きがない」と書かれていたに違いありません。
そうです店長の級友「Sくん」のように落ち着きがなく、「ヤグラの上でじっとしている事が苦手」なのです。因みに、Sくんは忘れ物も多くて、給食当番のエプロンも洗わないアウトローでしたが、現在は更生して立派な大工さんになりました。
ヤグラに乗るのが得意でない人の中には「すぐにデスしてしまうから、自分が乗ると味方に迷惑がかかる」と思っている優しいイカさんもいるようです。
では、そんな優しいイカさんの為に、正しいソイヤの作法を解説しましょう。
①ヤグラの上はいつもキレイに
ソイヤを舞う舞台でもあるヤグラ上は神聖な場所です、ヤグラに登ったら必ず隅々まで自軍インクで清めましょう。また、敵インクが付着したままのステージで舞うと、思わぬ捻挫の危険があるので、敵インクが付着する度に隅々までキレイに塗りましょう。
②柱にもたれない
ヤグラの中心に立っている柱は「ヤグラ乗りの魂」とも言われています。バスケ部がバスケットボールに座ると怒られるように、ヤグラ乗りは柱にもたれたり、靴についたインクを落とす為に柱を蹴ってはいけません。いつでも柱を中心にヤグラ上を素早く移動できるように心構えをしておきましょう。
③ボムが乗っても降りない
ソイヤをしていると敵のボムがステージに投げ込まれる事がありますが、柱を盾にして対角線上でソイヤすれば防げます。素早く対角線上に移動してかわしましょう。
④チャーに狙われても降りない
ソイヤの歴史はチャージャーとの戦いの歴史でもあります。古くは「烏賊島の戦い」に記される「ナイスな与一」が、七反(約75.6m)離れたソイヤの扇を撃ち落としたという話が有名ですし、近年では、4人のチャージャーに狙われながらも、ソイヤを続けた伝説のヤグラ乗りを描いたミュージカル映画、「ソ・ソ・ソイヤ 」がゴールデングローブ賞7部門獲得、アカデミー賞ではノミネートされた11部門中、6部門を獲得するなどミュージカル映画の歴史に金字塔を打ち立てました。
柱を盾にして対角線上に隠れましょう。この時、イカ潜伏状態で隠れると「当たり判定」が柱からはみ出るので、上手なチャージャーには撃ち抜かれます。チャージャーに狙われている時は、ヒト状態になって隠れるのがコツです。
⑤ブラスターの射程に入る前に降りる
どんなにノリノリでソイヤをしていても、ブラスターの接近を確認したら射程に入る前にソイヤをやめてヤグラを降りる事にしましょう。ブラスターの攻撃は柱では防げません。
例えば、アナタがヤグラの上で【リンダリンダ】を歌いはじめたとして、「どーぶーねーずみ♪みたいにー♪うーつーくーしーくーなーりーたい♪しゃーしーんーには♪うつらないー♪うーつーくしさー♪があーるかーらーーーーー♪リン」の時だったとしてもすぐに降りましょう。
❸ソイヤの仕事
ソイヤの仕事はヤグラに【ノル】だけじゃありません。【ヌル】も【キル】も可能な限り参加しましょう。また、「サブ」や「スペシャル」を活用して、少しでも長くソイヤできるように工夫してみましょう。
①ヌル
ヤグラ周りは自動的に敵味方が交戦する前線になります。アナタがソイヤを担当しているということは、3.5人 vs 4人の数的不利(※)でもあるので、人一倍【ヌル】意識を持つべきです。ヤグラの上から塗れる範囲は塗り固め、なるべく味方が戦いやすくなるように地的有利な状況を作りましょう。
(※)ガチヤグラの基本戦術「3逆転されても下を向かない」参照
②キル
ヤグラは高台と同じ扱いなので、同じ射程のブキでマッチアップしているならソイヤ側に分があります。味方のワッショイを掻い潜って接近しようとする敵のブキを見極め、なるべくヤグラから降りずに迎撃できるようになりましょう。
③サブウェポン
ボムやポイズンミストは敵をヤグラに近付けさせない為の牽制に使えますし、ヤグラに乗り込んできた敵を降ろす効果もあります。また、スプリンクラーやトラップを設置しておくとヤグラ上での戦闘を若干有利に運べますし、ヤグラルート上で待ち構えている敵にポイントセンサーを投げて味方に知らせるのも有効です。緊急事態には、ヤグラに設置したジャンプビーコンにセルフジャンプする事で、ハイプレやミサイルの回避に成功するかもしれません。サブウェポンを使いこなせる事は「良いソイヤ」の条件のひとつなのです。
④スペシャルウェポン
どのルールにも言える事ですが、スペシャルを出し惜しみしてデスしてしまうのは「悪手のひとつ」です。ドラクエで「あと少しゴールドが溜まったらセーブしよう」と思っていたら全滅してしまうような、ヨドバシカメラで「あと少しポイントが溜まったらゲームを買おう」と思っていたら有効期限が切れてポイントが失効してしまうような、あと、ほら、後で食べようと思って冷蔵庫に入れたプリンが(中略)リードしている時こそスペシャルを早めに使うよう心がけましょう。
❹ソイヤのまとめ
ヤグラは「ソイヤ」しないと絶対に動きません。ヤグラが動かないとカウントを削る事ができないので「ソイヤ」なしに勝つ事は不可能です。逆に言うと相手が「ソイヤ」しなければ、負ける事も絶対にないのです。
つまりガチヤグラは「ソイヤが勝敗を分けている」のであり、勝っても負けても「ソイヤした人が一番の功労者なのです。たとえ0キルだったとしても、ヤグラに乗り切ったならば胸を張っていいのです。
今作、スプラトゥーン2は「逆転しやすい」という特徴があります。これには賛否両論ありますが、色々と事情や狙いがあるのでしょう。
前作では「1カウントのリードを守り切る」という醍醐味があり、戦力的に勝る相手にも「1カウントでもリードすれば勝ちをもぎ取れる」という「戦術的に詰める要素」があったので、デス覚悟でヤグラに乗り続けるという戦法も有効だったのですが、今作では一転「デス覚悟で乗り続けるのは悪手」になってしまいました。
なぜなら「99 vs 0」からの逆転が起こり得るゲーム設計なので「1カウント」の重みが無くなってしまい、自分以外にソイヤする人がいないマッチングの場合は「ヤグラ乗りのデス=逆転負け」に直結してしまう事が多々あるからです(S+帯まで)。
ギリギリでリードをもぎ取れる可能性がある場合ではない限り、「降りないとデスする事」が予想できているならば、潔く降りてワッショイに参加しましょう。そして「何度も乗り直す事」がマッチングに左右されずにウデマエを上げる結果に繋がるはずです。
また、ガチホコのように、相手がカウントを削りにくい場所へヤグラを移動させる事が出来ないので、守備フェーズも「ヤグラに乗る事」になります。
僅かなリードを守りたい時ほど、一所懸命にヤグラに乗りましょう。攻撃は最大の防御なのです。
スプラトゥーン2のガチヤグラは「全員が分かっている」マッチングでは負ける事はほとんどありません。逆に言うと「いちいち言わなくても自分達で協力して遊んでくれるに決まっている」というのがスプラトゥーン製作側の甘い考えなのかもしれません。
甘い、実に甘い。鎌倉の「茶房 雲母(きらら)」で食べた、宇治白玉クリームあんみつ(850円)より甘い。
しかしながら、この甘い考えに共感できる甘党チームのヤグラを止める事は非常に骨が折れます。なぜなら、そのヤグラの上にはチームの為に走るアナタが乗っているのですから。
さぁ、しょっぱいチームをぶちのめしに行きましょうか。
巻末コラム
第二回
「誰にも出来るソイヤとできねェソイヤがある。お前にできねェソイヤはおれがやる。おれにできねェソイヤをお前がやれ!!!」
※【MEN’S SOI-YA】2018年2月号(特集:イカしたヤツらはもう着てる!ネクストブランドINDEX他)より。
伝説のヤグラ乗りとして語り継がれる「ポポン氏」の名言集、第二回である今回は、ガテン系ファッション誌の草分け的な存在【MEN’S SOI-YA】で連載していたポポン氏の読者相談コーナーでの一言である。
読者の質問ハガキ「高所恐怖症なのでタチウオのガチヤグラの最後のところでソイヤできません、どうしたらポポンさんのようにソイヤできますか?」に対して漢らしく一喝した回答である。
因みに、同号での2つ目の質問「先日、モンガラキャンプ場で、相手チームに上手いチャーがいる時にヤグラに乗らないポポンさんを見ました。どうしてですか?」のハガキに対しても、一言一句違わずまったく同じ回答であった。