2020年のドメスティックバイオレンス(DV)相談件数は13万2355件※1、児童虐待通告は10万6960件※2で、いずれも過去最多を更新しました。
「表にでる相談件数は、DVの実態を完全に反映しているとは言いがたい」と、アメリカでDV被害者支援ホットラインを運営するNPOのケイティー・レイジョーンズさんは言います。
「暴力をふるう相手が常に家にいて、被害者の一挙手一投足を監視している。被害者の多くは、外部に助けを求めること自体が難しくなっている。本当の被害者は、もっと多くいるはずだ」
『家にとどまって』 その家が安全ではなかったら?|NHK
新型コロナウイルス感染拡大により在宅時間が増え、家庭内暴力や児童虐待は深刻化・潜在化している可能性があります。
もしかすると、アナタの周りにも助けを求めている人がいるかもしれません。
※1)内閣府が開設した「DV相談プラス」に寄せられた相談件数
※2)虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した件数
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Signal For Help(シグナル・フォー・ヘルプ)ってなーに?
カナダの女性と女児の権利を守る財団「Canadian Women’s Foundation(カナダ女性財団)」が作った、「助けが必要であることをビデオ通話や対面において相手に知らせるハンドサイン」を Signal For Help(シグナル・フォー・ヘルプ)といいます。
加害者が常にすぐそばにいる状況下でも、FaceTimeやSkypeなどで知人に助けを求められる素晴らしいアイデアは、2020年4月頃からニュースやSNSを通じて世界中に拡散し、国境も宗教も飛び越えて『世界共通の救難信号』になりました。
ありがとう Canadian Women’s Foundation の賢い人。
Signal For Help(シグナル・フォー・ヘルプ)の使い方
この素晴らしいアイデアが日本でも広まることを願って「日本語版」を作りました。必要な方はご自由にお使いください。(リンクも報告も必要ありません)
「NHKの記事※3」や「世界仰天ニュース」など一部のメディアでは、
- 「親指を曲げた状態で手のひらを見せる」
- 「そのあと握りこぶしをつくる」
と説明していたり、公式イラストも「指を折り曲げた状態」から表現されていて混乱してしまうのですが、本家の「Canadian Women’s Foundation(カナダ女性財団)」に問い合わせたところ、
- 「手のひらをかざす」
- 「親指を曲げる」
- 「4本の指で親指を包む」
が正しい手順のようです。ありがとう Sarah(カナダ女性財団の偉い人)さん。感謝の気持ちを込めて「英語版」も置いておきます。
ちなみに、公式イラストは文字で補足しています。
「1.Palm to camera and tuck thumb」(手のひらをカメラへ向け、それから親指を押し込む)。
伝言ゲームが少しずつズレて「違う言葉」になってしまうように、シグナル・フォー・ヘルプもメディアやSNSで拡散していくうちに「間違って伝わる可能性」があるので注意が必要です。
SOSのサインを出していないのに「助けを求めているのでは?」と誤解されてしまったり、「本当に助けを求めている人」を救えなくなってしまっては本末転倒なので、次の項で紹介する動画も併せて参考にしていただければと思います。
※3)NHK 報道局から『(該当記事の)文章はイラストを説明する形で書いたもの。基本的にはご指摘の通り(手のひらをかざしてから親指を曲げる)カナダ女性財団と同じ内容を伝えるもの』と丁寧な回答をいただき、該当記事も現在は削除されています。
使い方の動画【基本編】(公式)
「加害者が近くにいること」を想定して考えられたサインなので、最小限の動きで伝えることが出来ています。本当に素晴らしい。
使い方の動画【応用編】
声が出せない状況で助けを求めている人は「男性の場合もあり得る」ということに気付かせてくれる動画です。
ちなみに、Signal For Help は、手話のように「単語」や「文字」を表現しているのではなく、とにかく『片手ですばやく行えるサイン』として考えられたそうです。
Signal For Help(シグナル・フォー・ヘルプ)に気付いたら?
「ビデオ通話をしている相手」が、アナタに『助けを求める合図』を使用した場合、どのように行動したらいいでしょうか?
Canadian Women’s Foundation(カナダ女性財団)の公式ホームページにこんなアドバイスがあります。
アナタがこのハンドサインに気付いても、その話題には触れずに自然な会話を続けてください。
SIGNAL FOR HELP| Canadian Women’s Foundation
被害者が Signal For Help(シグナル・フォー・ヘルプ)を使用するときは、加害者が近くにいて「声で助けを求められない状況」なので、『え!?うそ!?大丈夫!?』など直接的なリアクションをすると、外部に助けを求めたことを加害者に気付かれてしまい、もっと危険な状況に追い込んでしまうかもしれません。
後で電話をかけて「はい」「いいえ」で答えられる質問をしたり、メールやSNSで「何かできることはある?」など加害者に見られても問題のない質問文で、被害者が何を必要とし、アナタに何をしてほしいかを見つけてください。
もし「被害者が差し迫った危険にさらされている場合」は迷わず警察に通報しましょう。
知ってると役に立つサービス
110番アプリシステム
110番アプリ
警察庁無料posted withアプリーチ
警察庁が作った、聴覚に障害のある方など「音声による110番通報が困難な方」が、スマートフォンなどを利用して、文字や画像で警察へ通報可能なアプリです。
「事前登録」が必要だったり、「写真撮影機能」を使用すると音や光が出る場合があるので注意が必要です。
DV相談プラス
内閣府が開設した「配偶者やパートナーから受けている様々な暴力(DV)」について、専門の相談員が一緒に考えてくれるサービスです。
DV相談プラス|内閣府
緊急SOS(iPhone)
iOS11以降のiPhoneは「緊急SOS」という機能を標準で搭載しています。
「緊急SOS」を使用すると、たとえ『iPhoneにロックがかかっていても』、警察や救急などの緊急通報用電話番号に電話をかけることができます。
本体側面の電源ボタンといずれかの音量調節ボタンを同時に長押し。
1.本体側面の電源ボタンを素早く5回押す
2.緊急電話をかける
【SOS】のスライダーを右にスワイプすると、「警察:110」「海上保安庁:118」「火事、救急車、救助:119」が表示され、それぞれタップすると通報できます。
【メディカルID】に「緊急連絡先」として家族や信頼できる人の連絡先を登録しておくと、緊急SOSで警察に通報したあと「指定した緊急連絡先にiPhoneの現在地を知らせるテキストメッセージ」を自動で送信します。
たとえ位置情報サービスをOFFに設定していても強制的にONになり、現在地が変わっても最新の位置情報が「指定した緊急連絡先」に送信されます。
自身や家族の命に関わる「差し迫った危険にさらされた場合の緊急手段」として覚えておいてください。
iPhone で緊急 SOS を使う|Apple(公式)
まとめ
内閣府は「2019年」のDV相談件数も公表し、その数は全国で11万9276件でした。
このうち「未成年の子どもと同居している相談者は3万7044人」で、子供に対しても虐待があると考えられたケースは2万2337人だったそうです。
ひとりひとりの声は小さくても、みんなで声をかけあうことで、「Signal For Help(シグナル・フォー・ヘルプ)」に気付く人が増えれば、いまこのときも、どこかで擦り切れそうになっている、小さな命を救うことにつながるかもしれません。
どうか、1人でも多くの方に、この偉大な発明『#SignalForHelp(シグナル・フォー・ヘルプ)』が伝わりますように。