ラグの対策【準備編❸】
Ping値の測定

❶Pingってなーに?

【Ping】は、ピンとか、ピングとか読みます。
Packet INternet Groper
の略って言う人もいますが、それは「デイヴィッド・L・ミルズ」って賢い人(計算機工学者)がこじつけたバクロニム(※)なので、正しくは「潜水艦等のソナー(音波)」って程の意味なのです。
※バクロニム:ある単語の各文字を使って新たに意味を持たせたもの。
本来は「ネットワークの疎通を確認」するための検査コマンド
【Ping】はネットワークが正しく動作しているかをチェックする検査コマンドの名前です。
「コンピューターA」が「コンピューターB」に対して「パケット(※データの塊)」を送信し、そのパケットがちゃんと返ってくるかをチェックして「ネットワークの疎通」を確認するのです。

この時、パケットの往復時間「RTT(ラウンドトリップタイム)」も(ついでに)計測されるので、「ネットワークの性能(応答速度)」のチェックにも応用されています。
厳密には「RTTの測定」と言うべきなのですが、オンラインゲームの普及に伴い「若者言葉」として【Ping値(ピンチ)】が広く認知されているので、イカスミカフェでは「Ping値の測定」と表現することにしました。
スパゲッティって言うより、パスタって言う方がなんかカッコいいのです。
『Ping』は『回線速度』より遥かに正確に「ネットワークの遅延」を数値化する事ができるので、オンラインゲームのラグの有無を知りたい時は「回線速度」ではなく、必ず「Ping値」を測定しましょう。
❷Ping値の目安
PING値 | FPS/TPS/格ゲー |
---|---|
1ms〜9ms | 安定 |
10ms〜29ms | 普通 |
30ms以上 | 微ラグ(2〜3フレーム遅延) |
50ms以上 | ラグ(3フレーム以上遅延) |
100ms以上 | 強ラグ(まともにプレイできない) |
前述の通り「Ping」はネットワークの疎通とその応答速度を数値化したものなので、「ネットサーフィン」や「動画の視聴」や「普通のオンラインゲーム」にはまったく関係がありません。
たとえばPing値が「100ms(0.1秒)」の回線で動画を視聴したとしても、再生ボタンを押してから動画が始まるまで0.1秒ズレれるだけなので誰も困りません。動画の視聴に影響するのは「回線速度」です。
しかし、スプラやオーバーウォッチ等のFPS/TPSでは「2〜3フレームの遅延」が勝率を大きく左右しますし、スマブラやストリートファイター等の格闘ゲームでは1フレームの遅延が勝敗を分け、上位勢との決定的な差を生みます。
ゲームをまったくしない人でも3フレームの遅延を知覚する事は可能ですが、2フレーム以下の遅延は、熟練プレイヤーだけが「違和感」として感じる「目で見る事ができない遅延(※)」なので、自分のラグに気がついていない人の方が圧倒的に多いのかもしれません。
※エセックス大学(イギリスの国立大学)の研究では、プロゲーマー上位勢の反射速度は戦闘機パイロットと同等で、1フレームの遅延を100%言い当てる人もいるそうです。
公式大会(オフライン大会)の遅延は「1ms〜2ms」なので、大会に出場するチームに所属している人やプロゲーマーを目指している人は、なるべく「1ms〜9ms」のトレーニング環境を用意する事が理想です。トレーニング前の「Ping値の測定」は習慣にしましょう。
普通にゲームを楽しむだけなら30ms前後でまったく問題ありませんが、勝率にこだわる人は回線や機材を見直して「29ms以下」を目指しましょう。
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❸Ping値は必ず東京サーバーで測定する
東京から離れるほどPing値は高くなる

Nintendo Switch も PlayStation もマルチプレイで利用するサーバーに Amazon.com の「AWS(Amazon Web Services)」を採用しています。
セキュリティ上の理由からAWSの設置場所が公にされることはありませんが、オンラインゲームのサーバーは日本中のプレイヤーがなるべく平等な条件でプレイできるように、またタイトルによっては世界中のプレイヤーとの通信がスムーズに行われるように、海底ケーブルやプロバイダーの基地局が集中している東京に設置されている事がほとんどです。
この為、オンラインゲームにおける「Ping値」は東京から離れる程大きくなるので、東京から遠い場所に住んでいるプレイヤー程ラグを抱えている可能性が高くなります。
ラグの有無を正確に測定したい場合は、パケットの送信先を必ず「東京サーバー」に設定するようにしましょう。
※P2P通信のタイトルもマッチング時だけでなく、マルチプレイ中も常時サーバーとTCP通信を行います(ゲーム進行、チート行為防止、セキュリティ等)。
Ping値には物理的な限界値がある
光信号は「1km 」で「 5μs(マイクロ秒)」遅延するので、「1000km」で「5ms」遅延します。
さらに、Ping値は往復で計算するので「大阪→東京(400km)」で「4ms以上」、「北海道→東京(800km)」で「8ms以上」の遅延を物理的に必ず抱えている事になります。

店長がボランティア活動やALSの勉強で地方に滞在した際、現地で実際に測定した結果では『大阪府大阪市→東京』で平均「10ms」、『北海道札幌市→東京』で平均「30ms」程でした。
「大阪→東京(400km)」と「札幌市→東京(800km)」の距離は2倍なのに、Ping値は3倍なのはなぜでしょうか?

これは、実際に施設されている光ケーブルが東京まで一直線ではなく、各都道府県に設置された中継地点を経由しながら施設されているからなのです。
北海道や九州や四国では海の底深くに沈む「海底ケーブル」を利用するので、地図で確認できる直線距離よりも長いルートを通っているのです。
このように「Ping値」には住んでる場所の「物理的な限界値」があり、「回線業者」や「プロバイダー」を変えても、改善しない場合があるので注意が必要です。
❹ブラウザでPing値を測定
【精度】
スマホやパソコンのブラウザを使って簡易的にPing値や回線速度を測定する事ができます。デバイスの性能、ブラウザの性能、測定サイトの混雑等の影響を受けるので測定した数値にムラがあります。
FAST.com【オススメ】
■Netflixが運営。測定サーバーは選択できませんが、Netflixはほとんどのオンラインゲームが利用するAWSサーバーを採用しているので、ブラウザ系では最も信頼できる測定サイトです。→使い方
インターネットスピードテスト
■USEN(GATE 02)が運営。測定サーバーは選択できません。Ping値は距離的にはありえない良い数値が出る時があるので、自動で最寄りのサーバーに繋がるシステムなのかも?→使い方
BANDWIDTH PLACE
■Bandwidth Place(アメリカ)が運営。ブラウザ版では珍しい東京サーバーと大阪サーバーが選択できるサイトなのですが、測定値にムラがあるので参考までに。→使い方
SPEEDTEST
■Ookla(アメリカ)が運営。世界で最も有名で最も利用者の多い測定サイト。
残念ながら「i3D.net(Tokyo)」サーバーが選択できなくなってしまったので、日本では正確な測定ができなくなってしまいました。→使い方
【FAST.com】の使い方
①FAST.com にアクセス
自動で「回線速度」の測定がはじまります。

②「詳細を表示」をタップ(クリック)

【レイテンシ】:Ping値のこと
■アンロード済みレイテンシ:回線を利用しているのがアナタだけの場合の応答速度。
■ロード済みレイテンシ:同じ回線で妹がゲームの大型アップデートをしていたり、お父さんが動画のストリーミング再生をしていたりする場合の応答速度。
③Ping値をチェック
PING値 | FPS/TPS/格ゲー |
---|---|
1ms〜9ms | 安定 |
10ms〜29ms | 普通 |
30ms以上 | 微ラグ(2〜3フレーム遅延) |
50ms以上 | ラグ(3フレーム以上遅延) |
100ms以上 | 強ラグ(まともにプレイできない) |
FAST.com
【インターネットスピードテスト】の使い方
①「測定開始」をタップ(クリック)


【JITTER】:測定結果のばらつきのこと
英語で「いらいらする」という程の意味。Ping値を測定するためのパケットを2回送って「1回目:10ms(待機時間5ms)」「2回目:8ms(待機時間4ms)」だった場合、5ms-4msで「JITTER:1ms」。「1回目も2回目も同じ結果」だった場合は「JITTER:0ms」。
常に JITTER値 が高いネットワークは不安定なので、通信エラーやラグを引き起こします。
②Ping値をチェック
PING値 | FPS/TPS/格ゲー |
---|---|
1ms〜9ms | 安定 |
10ms〜29ms | 普通 |
30ms以上 | 微ラグ(2〜3フレーム遅延) |
50ms以上 | ラグ(3フレーム以上遅延) |
100ms以上 | 強ラグ(まともにプレイできない) |
インターネットスピードテスト
【BANDWIDTH PLACE】の使い方
①Pingを送信するサーバーを選択



BANDWIDTH は 都内の NURO光 でもPing値が2桁出たりします。しかし、スマホで手軽にPingを測定できるサイトは少ないので BANDWIDTH PLACE はありがたいサイトなのです。
②Ping値をチェック
PING値 | FPS/TPS/格ゲー |
---|---|
1ms〜9ms | 安定 |
10ms〜29ms | 普通 |
30ms以上 | 微ラグ(2〜3フレーム遅延) |
50ms以上 | ラグ(3フレーム以上遅延) |
100ms以上 | 強ラグ(まともにプレイできない) |
BANDWIDTH PLACE
【SPEEDTEST】の使い方
①Pingを送信するサーバーを選択
※スマホ版はサーバーを選択できません。
「Change Server」サーバーをクリックします。

画像の『Tokyo-i3D.net』は選択出来なくなったので適当な東京サーバーを選択。

②Ping値をチェック
PING値 | FPS/TPS/格ゲー |
---|---|
1ms〜9ms | 安定 |
10ms〜29ms | 普通 |
30ms以上 | 微ラグ(2〜3フレーム遅延) |
50ms以上 | ラグ(3フレーム以上遅延) |
100ms以上 | 強ラグ(まともにプレイできない) |
SPEEDTEST
❺アプリでPing値を測定
※iOS版のみ
【精度】
以前オススメしていた「SPEEDTEST」は「i3D.net」のサーバーを選択できなくなってしまったので、ネットワークエンジニアが仕事で普通に使うアプリを紹介します。
※店長はAndroidデバイスを持ってないので、Androidのタブレットを買ったら良いアプリを探して紹介します。
Ping – network utility【オススメ】
英語版しかありませんが操作はとても簡単です。広告も出ませんしかなり正確な数値を測定できるので是非お試しください。
【Ping – network utility】の使い方
※iOS版のみ
①パケットの送信先を入力

1番上のフォームに「google.co.jp」を入力します。
※Pingは本来、自分が利用しているネットワークの検査コマンドなので「nintendo.co.jp」にPingコマンドを送信するのはやめましょう。他人の設備に同一IPから頻繁にPingコマンドを送信するとあらぬ誤解を招くかもしれません。google先生はみんなの先生だからOKです。
②「Ping」をタップ

右上の「Ping」をタップすると測定スタート。
③「Stop」をタップ

「Stop」をタップするまでずっとPingを送り続ける健気な子なので、適当な所(5回〜10回)で止めてあげましょう。
④右側の数値(ms)を確認

右側にPing値が表示されるのでチェック。
⑤その他の値を確認

❶Received:送信(Sent)したPingが返ってきた回数。
❷Avg:アベレージの事なので「平均値」って程の意味。
❸Loss:パケットの損失率。
※この数値が常に高い場合、何らかのエラーでパケットが破棄されています。パケットが破棄されると再度同じデータを送り直す事になり、通信エラーやラグの原因になります。ネットワークの性能に対してデバイスのMTU値が高く設定されすぎていないかチェックしましょう。ルーターの再起動で改善する場合もありますが、プロバイダーに相談しても改善しない場合はゲーミングプロバイダーにしたらいいと思うの。
❹Stddev:標準偏差の事なので「データのばらつき」って程の意味。
⑥Pingをチェック
PING値 | FPS/TPS/格ゲー |
---|---|
1ms〜9ms | 安定 |
10ms〜29ms | 普通 |
30ms以上 | 微ラグ(2〜3フレーム遅延) |
50ms以上 | ラグ(3フレーム以上遅延) |
100ms以上 | 強ラグ(まともにプレイできない) |
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❻パソコンでPing値を測定
【精度】
【Win】でPing値を測定
①[コマンドプロンプト]を起動
・win8/8.1 以降
[画面右下を右クリック]→[メニュー]→[コマンドプロンプト]
・win7 以前
[スタートメニュー]→[アクセサリ]→[コマンドプロンプト]
②下記の「コマンド」を入力
ping www.google.co.jp
③[Enter]でコマンドを送信
最後の行の[平均=○○ms]を確認します。
④Ping値をチェック
PING値 | FPS/TPS/格ゲー |
---|---|
1ms〜9ms | 安定 |
10ms〜29ms | 普通 |
30ms以上 | 微ラグ(2〜3フレーム遅延) |
50ms以上 | ラグ(3フレーム以上遅延) |
100ms以上 | 強ラグ(まともにプレイできない) |
【Mac】でPing値を測定
①[ネットワークユーティリティ]を検索
command+スペースバーを押して「Spotlight」を開きます。

Spotlightのフォームに「ネットワークユーティリティ」と入力。
②[ネットワークユーティリティ]を起動

[ネットワークユーティリティ]をダブルクリックで起動。

1.[Pingタブ]を選択。
2.[Pingコマンドを送信するネットワークアドレスを入力してください]に[www.google.co.jp]を入力。
3.[送信回数]を選択して[4]を入力。

[Ping]送信ボタンをクリック。

最後の行の数字を確認。
左から「最小Ping値」「平均Ping値」「最大Ping値」[標準偏差(値のばらつき)」
③Ping値をチェック
PING値 | FPS/TPS/格ゲー |
---|---|
1ms〜9ms | 安定 |
10ms〜29ms | 普通 |
30ms以上 | 微ラグ(2〜3フレーム遅延) |
50ms以上 | ラグ(3フレーム以上遅延) |
100ms以上 | 強ラグ(まともにプレイできない) |