「ラグの対策」の【準備編】〜【中級編】まで、全部やっても「Ping値の測定」の結果が改善しない場合は、回線業者やプロバイダーの変更を検討するタイミングかもしれません。
面倒な書類を書いたり、工事の順番を待ったり、ラジバンダリしたのに、「ラグは改善しなかった」ということがないようにしたいので、「まだ試してない対策」がある方は、できる範囲のことを全部試してからの検討をおすすめします。
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回線業者ってなーに?
インターネットをするための「光ケーブル」や「同軸ケーブル」など、『物理的な線』を提供する業者のことを「回線業者(回線事業者)」といいます。
上の画像は、世界中のインターネットを繋ぐ「海底ケーブル」を、ひとつの地図にまとめた「Submarine Cable Map」のものです。
日本と世界を繋いでいるインターネットは『物理的な線(海底ケーブル)』であることがわかります。
「海外とは通信衛星で繋がっている」というイメージがありますが、衛星を経由する通信は速度が遅くコストもかかるので、「災害時の医療関係の通信」や「南極で働いてる人の通信」など、『物理的な線』の敷設が難しい場合には通信衛星を利用するそうです。
いつか「全てのインターネットが通信衛星で運用される時代」がくるかもしれませんが、今のところ『物理的な線』に頼るしかないようです。
回線業者と「物理的な線」
光回線(光ケーブル)
「光ケーブル」を使って通信するインターネット回線を「光回線」といいます。「光ケーブル」は、海底ケーブルにも採用されているほど通信速度が速く、ノイズの影響も受けにくいので、「オンラインゲームのラグ対策」においては、光回線がベストチョイスです。
CATV回線(同軸ケーブル)
ケーブルテレビを視聴するための「同軸ケーブル」を使って通信するインターネット回線を「CATV(ケーブルテレビ)回線」といいます。「同軸ケーブル」はノイズを拾いやすいため、通信エラーやラグの原因になる可能性があり、競技性の高いオンラインゲームには向いていません。
ADSL(電話のやつ)
「アナログ電話回線」を使って通信するインターネット回線を「ADSL」といいます。「アナログ電話回線(通信用PVC屋内線とかモジュラーケーブル)」はCATVよりもノイズを拾いやすいので、競技性の高いオンラインゲームには向いていません。また、ADSLは「2023年1月31日(一部エリア2025年1月31日)にサービス終了」が決まっているため、それまでに乗り換えの検討が必要です。
VDSL(光回線+電話のやつ)
建物の供用部分までは「光ケーブル」、各世帯への配線は「電話回線」を使って通信するインターネット回線を「VDSL方式」といいます。ADSLと同じく「通信用PVC屋内線(TIV-F)」はノイズを拾いやすいので、競技性の高いオンラインゲームには向いていません。
モバイルWi-Fi(無線)
Wi-Fi(無線)はとっても便利ですが、競技性の高いオンラインゲームに向いていません。
「フレッツ光」vs「auひかり」vs「NURO光」
日本の光回線は大きく「フレッツ光※1」「auひかり 」「NURO 光」「電力会社系※2」の4つに分けられます。
このうち「電力会社系」はその地域の人しか契約できないので、今回は「フレッツ光」「auひかり」「NURO光」の3つにしぼって比較してみたいと思います。
光回線は同じだけどスペックが違う
「auひかり」と「NURO光」が利用している光ケーブルは、NTTの余っているケーブル(ダークファイバ※3)を借りて運用しています。
「auひかり」や「NURO光」の工事にNTTがくるのはこのためで、3社とも「物理的な線」はまったく同じ品質のものです。
速度(下り) | 伝送方式 | IPv6 | |
---|---|---|---|
フレッツ光 | 1Gbps | GE-PON | v6プラス |
auひかり | 1Gbps | GE-PON | デュアルスタック |
NURO光 | 2Gbps | G-PON | デュアルスタック |
上の表は、3社の標準的なプランの仕様の一部を比べたものですが、面白いことに3社とも微妙に違う部分があります。
この「スペックの違い」がオンラインゲームにどう影響するのでしょうか?
【ダークファイバ】光ケーブルを埋める工事は、許可を取るのに時間がかかり、費用も高額なので、将来需要が増えたときに備えて、最初から予備の光ケーブルを埋めています。
そして、結局、使わなかった光ファイバーを「ダークファイバ(なにそれカッコイイ)」と呼び、2001年にはNTTに対する「ダークファイバの開放(なにそれヤバイ)」が義務付けられ、NTT以外の企業も回線事業への参入が可能になったのです。
「GE-PON」vs「G-PON」
伝送方式対決
1本の光ケーブルを複数ユーザーでシェアするシステムを「PON(Passive Optical Network)」といいます。
PON には通信速度の異なる様々な規格があり、「フレッツ光」と「auひかり」は無線LANで有名な IEEE の規格【GE-PON】、「NURO光」は国連機関 ITU-T の世界標準規格【G-PON】を採用しています。
GE-PON の下り速度が 1.25Gbit/s なのに対して、G-PON の下り速度は 2.5Gbit/s なので、単純に2倍の速度が出ます。
「v6プラス」vs「デュアルスタック」
IPv4 / IPv6 共存技術対決
現在、インターネットでデータをやりとりする方法は、「IPv4」と「IPv6」の2種類がありますが、オンラインゲームのマルチプレイは「NAT」という「IPv4」の技術を使います。
契約している光回線が「IPv4通信」をどのように処理するかは、オンラインゲームのマルチプレイのしやすさを表す「NATタイプ」に影響するほどの重要な要素になります。
関連記事「v6プラス」:フレッツ光
フレッツ光の「v6プラス」は、『MAP-E』という技術を使ってIPv4通信を行います。
- HGW(ホームゲートウェイ) を使って Switch の「IPv4パケット」を「IPv6パケット」の中にカプセル化します。
- カプセル化した「IPv6パケット」で「NGN(NTT東西IPv6網)」を通過させます。
- 「NGN」を通過した「IPv6パケット」は、「BR(Border Relay)ルーター」を使ってカプセル化を解除し、「IPv4パケット」に戻してから通信相手の Switch に送信します。
「カプセル化」と「カプセル化解除」という処理が増えるため、「ラグ」や「通信エラー」の要因が増えます。
また、v6プラスは「利用できるポート範囲が制限される」ため、Nintendo Switch を「NATタイプ A」にすることができません。
「デュアルスタック」:auひかり、NURO光
auひかりとNURO光の「デュアルスタック」は、IPv4 と IPv6 を単一機器で同時に動作させる仕組みのことで、IPv4対応機器と通信を行う際には IPv4 を使用し、IPv6対応機器と通信を行う際には IPv6 を使用することができます。
また、「全てのポートを利用できる」ため、設定をカスタマイズすることにより、Nintendo Switch を「NATタイプ A」にすることができます。
オンラインゲーム向きの「回線業者」
フレッツ光は公式の紹介ができないので、v6プラスのプロバイダー「ゲーミングプラス」をおすすめしておきます。(詳しくは次の項で)
フレッツ光(Gaming+)
- 通信速度:下り最大1Gbps/上り最大1Gbps
- 伝送方式:GE-PON
- IPv4/IPv6:v6プラス
- フレッツ光基本料金※+3,278円/月
ポイント
- サービス提供地域が広い
- CATV や ADSL よりオンラインゲームに向いている。
- v6プラスなので Nintendo Switch を「NATタイプA」にできない。
- 1ヶ月無料お試し期間がある。
プロバイダーってなーに?
Internet Service Provider(ISP)を略して「プロバイダー」といいます。
回線業者が「物理的な線」を提供するのに対し、プロバイダーは「インターネットに接続するための設備やシステム」を提供します。
インターネットの出入り口はプロバイダーなので、最終的な通信品質は「プロバイダーの設備やシステム」に左右されます。
同じ「高速道路(光回線)」を利用するなら、「料金所の設備やシステム(料金所の数やETCの導入)」が整ったプロバイダーの方が速いですし、もともと利用者が少ない区間は設備やシステムが整っていなくても渋滞が少ないという具合です。
プロバイダー各社で通信規制の内容が違う
通信規制とは文字通り、プロバイダーがユーザーの通信に規制をかけ「通信速度を遅くする」ことです。
光回線なのに数Mbpsしか出ないことが多い人や、月末になると通信エラーが多くなる人は通信規制を受けているかもしれません。
また、大容量のファイルのやりとり(違法動画のDLなど)にはP2P通信方式のアプリケーションが使われるので、P2P方式の通信を検知すると自動で通信制限をかけるプロバイダーもあります。
総務省は「P2P通信の検知は通信の秘密の侵害に当たらない」としたので、おもいっきり P2Pで通信する Nintendo Switch は、通信規制がかかる可能性があります。
ネットフォレスト系プロバイダーの登場
そこにビジネスチャンスを見出したのが「ネットフォレスト系プロバイダー」です。つまり「通信規制はかけない」「ゲームのP2P通信はOK」にしたのです。
ネットフォレスト系プロバイダーのひとつである「ゲーミングプラス」は、日本のプロゲーミングチームとしてダントツの知名度を持つ「DetonatioN Gaming」さんのスポンサーにもなり、ゲーミングプロバイダーとしても知られるようになり、トップ・プロゲーマーのお墨付きも頂きました。